大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 昭和36年(ネ)622号 判決

控訴人 大串兎代夫

被控訴人 学校法人名城大学

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決を取り消す。本件を名古屋地方裁判所に差し戻す。」との判決を求め、兼松豊次郎の代理人は、主文第一項同旨の判決を求めた。

控訴代理人の主張は、左記のとおり陳述したほか、原判決事実欄の記載と同一であるから、ここにこれを引用する。

控訴代理人の陳述

被控訴法人のような学校法人の理事は本来各自がその法人の代表権を有する(私立学校法第三七条)。これが原則である。故に例外的に理事の一人だけに代表権があると定められている場合においても、その理事が死亡すれば、右の原則に戻り、理事は各自代表権を有するに至る。この理は、学校法人の理事の代表権に対する制限が登記事項とされていても(同法第二八条第一項同法施行令第一条第二項第七号)、なんら変化がない。右の制限を登記事項としたのは、特に学校法人の公共性を重んずる趣旨を有するにとどまるのである(同法第一条)。一人の理事だけが代表権を有し他の理事が代表権を有しない旨の制限が登記されていても、右の代表権を有する一人の理事が死亡し、その死亡の登記がなされている場合には、右の制限は当然に解除されて、他の理事が各自代表権を有するに至るのである。本件において、被控訴法人の寄附行為第一〇条は、代表権が理事長にのみ存する旨を規定し、その旨の登記がある。理事長として田中壽一が登記されていたが同人は昭和三五年一一月一一日死亡し、その旨登記されている。そして後任理事長の選任がなされておらず、理事長が欠けているのである。したがつて他の理事として登記されている者が各自代表権を有する。現に名古屋高等裁判所および名古屋地方裁判所の裁判例において、被控訴法人の理事の代表権につき、右の法理を容認したものが二、三ある。それで本件においても、理事兼松豊次郎を被控訴法人の代表者として本件訴訟を提起したのである(なお、大審院昭和九年二月二日決定、民集第一三巻一一五頁参照)。

理事の代表権に加えた制限を登記すれば、これをもつて、善意、悪意を問わず、すべての第三者に対抗することができるが、このことは、すべての登記の効力であつて、学校法人に限定されたことではない。民法第五四条は私立学校に準用されている(同法第四九条)。私立学校法は、ただ私立学校の公共性を重んずる法の精神を確実にするために、右の制限を登記事項としたにすぎない。故にそれを登記事項とした規定をもつて、理事各自代表の一般原則を排除したものと解することはできない。

被控訴法人寄附行為第一〇条は、「理事長以外の理事は、すべてこの法人の業務について、この法人を代表しない。」と規定しているけれども、その第一一条は、「理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、理事長のあらかじめ指名した他の理事が、順次に理事長の職務を代理し、又は理事長の職務を行う。」と規定している。このことは、理事の代表権が理事長のみに固定化されたものでないことを示している。第一〇条は、理事長の存在を前提とする規定であつて、その欠けた場合にまで適用されるものではない。そして本件においては、理事長のあらかじめの指名はない。またそのような指名のない場合を規律する規定を欠いている。したがつて一般原則に戻つて理事は各自が代表権を有すると解すべきである。本来理事と理事長とは法人の機関として同質である。理事長は同質者中の第一人者たるにすぎない。理事長と他の理事とを本質的に区別し、理事長のみを法人の固定的代表機関とみることは、寄附行為の解釈を誤つたものである。

以上のとおりであつて、兼松豊次郎は、被控訴法人の理事であり、しかも、その代表権を有するものである。故に本件は、特別代理人の選任を申請すべき場合にあたらない。

兼松豊次郎の代理人は、「兼松豊次郎は、被控訴法人の理事であつて、その代表権を有するものである。」と述べた。

理由

(本件訴訟の経過)

まず本件訴訟の経過を調査するに、控訴人は、訴状に被告の表示として被控訴法人の所在地および名称を記載し、かつ被控訴法人の代表者の表示として、「名古屋市中村区中ノ町一丁目三番地、理事兼松豊次郎」と記載し(同人の肩書には、同人個人の住所が掲記してある。なお、後記(リ)事件参照。)、この訴状を原審に提出して、本件訴訟を提起し、昭和三六年一一月八日の原審第一回口頭弁論において、原審は、控訴人に対し、「兼松豊次郎は被控訴法人の代表権を有せず、かつ他にもその代表権を有する者はいないと認められるから、民事訴訟法第五八条第五六条による特別代理人選任の申請をして、右の欠点を補正されたい。」旨を告知して、一〇日間の期間を定めた補正命令(決定)をしたが、控訴人が右の期間を徒過しこれに応じなかつたので、原審は、同月二四日の第二回口頭弁論において審理を終結し、その後訴を不適法として却下する判決をした。これに対して、控訴人は、訴状と同様、被控訴法人の代表者の表示として、兼松豊次郎の住所および氏名を記載した控訴状を当審に提出して、本件控訴をした。

なお、原審において、日比野信一は、被控訴法人を補助するための参加申出書を提出したが、その申出書には、「被控訴法人の正当な代表者でないものが、その代表者と称して、いわゆる八百長的に被控訴法人に支払義務のない金員の支払を認諾するような場合には、ただに正義観に反するのみならず、被控訴法人の学校運営に重大な支障を来たす。」などと記載してある(この点については、更に後記(リ)事件参照)。そして控訴人は、右の参加申出書に対して、異議申述書二通を提出した(ただし、原審口頭弁論において、右の参加申出書および異議申述書は、いずれも陳述しなかつた。)。

原判決理由の要点は、「被控訴法人の理事長として登記されていた田中壽一は昭和三五年一一月一一日死亡したにもかかわらず、被控訴法人においては、後任理事長の選任がなく、したがつて理事長を欠いているが、法令および寄附行為の解釈上、この場合においても理事長以外の理事には代表権がないと解せられるから、兼松豊次郎その他の理事には代表権がない。」というにある。これに対して、控訴人の主張は、要するに、「本件のような場合においては、法令および寄附行為の解釈上、理事長以外の数人の理事各自が代表権を有するとみるべきである。」というにある。

(被控訴法人の理事の状況)

そこでまず職権をもつて、被控訴法人の理事の状況を検討しよう。

本件記録添附の学校法人名城大学寄附行為写によれば、被控訴法人の寄附行為には、別紙のとおり規定してあることを肯認するに十分である。したがつてその第五条以下の規定によつて明かであるように、被控訴法人の理事は、五人以上八人以内であることを要し、次の方法によつて選定される。すなわち、名城大学長は当然に理事となる(学長理事)。評議員の互選により評議員のうちから二人を理事に選定する(評議員理事)。一般に、右の三人の理事を基本理事と呼んでいる。その他の理事は、被控訴法人に関係のある学識経験者のうちから、評議員会の意見を聞いて、右の学長理事および評議員理事(すなわち、三人の基本理事)の過半数の議決をもつて選任する(学識経験者理事)。そして理事の互選により理事の一人が理事長となる。学長理事の任期は要するに学長の地位にある間であり、それ以外の理事の任期は五年である。そして被控訴法人設立当初の理事は、寄附行為附則所定のとおり、田中壽一ほか五名であつた。

そこで登記簿の記載を考えるに、記録添附の登記簿謄本によれば、被控訴法人の登記簿には、左記のとおり各登記がなされていることを肯認することができる。

一、昭和二六年三月設立登記がなされた。

二、すでに抹消された理事就任登記

理事としては、田中壽一、佐々部晩穂、大隈孝一、今岡正益、田中コト、草葉隆円(以上六名が寄附行為所定の当初の理事)、伊藤萬太郎、高坂釜三郎、斎藤確、伴林、控訴人、日比野信一、福井勇、小島末吉、田中卓郎、大橋光雄、河野省吾、大野富之助、大石政雄、坪井研精等について、一回または数回理事就任登記がなされ、その各就任登記は、いずれも辞任、退任、資格喪失、解任、死亡等の登記がなされて抹消されている。

三、すでに抹消された理事長就任登記

理事長としては、右の者等のうち、田中壽一、伊藤萬太郎、大野富之助、大橋光雄等について、一回または数回理事長就任登記がなされ、その各就任登記は、いずれも辞任、解任、死亡等の登記がなされて抹消されている。

四、右の者等のうち最後の二人の理事長登記の状況

(1)  右の大橋光雄につき、昭和三三年一二月理事就任登記、昭和三五年二月理事長就任登記、同年五月理事長解任登記および理事解任登記が順次なされている(ただし、後記(ハ)ないし(ホ)事件参照。その(ハ)事件の仮処分によつて理事としての地位が一応認容されている。)。

(2)  右の田中壽一につき、昭和三三年二月理事就任登記、同年八月理事長就任登記、昭和三四年一一月理事長辞任登記、昭和三五年五月理事長就任登記、同年一〇月判決にもとづく理事長職務執行停止登記、同年一一月死亡登記が順次なされている(そして浦部全徳につき、理事長職務執行停止に伴う職務代行者選任登記がなされたが、田中壽一の死亡により浦部全徳の職務代行者たる地位は当然に消滅したと解せられている。後記(ハ)事件参照)。その後においては、何人についても、理事長就任登記はなされていない。

五、右の者等のうち三人の理事登記の状況

(1)  右の日比野信一につき、昭和三三年一〇月理事就任登記、昭和三四年七月資格喪失登記(学長理事であつたが、学長の地位消滅に伴い理事の資格を喪失したという趣旨の登記)、昭和三五年四月認諾調書にもとづく右資格喪失登記の抹消登記および資格回復登記、同年七月解任登記が順次なされている(後記(イ)(ロ)事件参照。なお、後記(ヘ)事件の仮処分によつて、学長および理事としての地位が一応認容されている。)。

(2)  右の小島精一につき、昭和三三年二月理事就任登記、昭和三四年七月解任登記、昭和三五年四月認諾調書にもとづく右解任登記の抹消登記および資格回復登記、同年五月解任登記が順次なされている(ただし、後記(ハ)事件の仮処分によつて、理事としての地位が一応認容されている。)。

(3)  右の田中卓郎につき、昭和三三年三月理事就任登記、昭和三四年七月解任登記が順次なされている(ただし、後記(チ)事件の仮処分によつて、理事としての地位が一応認容されている。)。

六、現在の六人の理事登記の状況

(1)  兼松豊次郎につき、昭和三四年一二月理事就任登記がなされている(ただし、後記(ト)事件参照)。

(2)  伴林につき、昭和三五年二月理事就任登記がなされている(ただし、後記(ト)事件参照)。

(3)  守田広海につき、昭和三五年五月理事就任登記、同年一〇月判決にもとづく職務執行停止登記が順次なされている(後記(ハ)事件参照)。

(4)  足立聰につき、昭和三五年五月理事就任登記、同年一〇月判決にもとづく職務執行停止登記がなされている(後記(ハ)事件参照)。

(5)  田中健児につき、昭和三五年七月理事就任登記、同年一一月判決にもとづく職務執行停止登記が順次なされている(後記(ヘ)事件参照)。

(6)  加藤敏正につき、昭和三五年七月理事就任登記、同年一一月判決にもとづく職務執行停止登記が順次なされている(後記(ヘ)事件参照)。

右のとおりであつて、被控訴法人の登記簿を検討すると、理事または理事長の就任登記、退任登記、辞任登記等がしばしばなされているのみならず、多くの解任登記がなされており(理事長の解任登記までなされている。)、また、多くの職務執行停止登記がなされている。登記簿をみただけで、被控訴法人が非常異様の状態にあることを容易に観取することができる。

そもそも、被控訴法人は、田中壽一等が私立学校法にもとづいて設立した学校法人であつて、名古屋市中村区新富町一丁目八五番地に事務所を置き、学校教育法により名城大学その他の諸学校を設置し、これを経営して来た。その設立以来田中壽一が理事長となつて主宰して来たが、昭和二九年ころより理事、評議員、教授等の首脳者の間に確執を生じ、学生も参加して田中理事長排斥運動が起り、田中派とその反対派とが相争い、昭和三〇年秋ころより紛争は激化したが、昭和三三年秋双方の間に和解(訴訟外のもの)が成立した。しかし、昭和三四年春ころより紛争は再燃し、理事長、理事、学長等の地位をめぐつて紛糾を重ね、相互に深刻に対立し、とうてい収拾することのできない状態に立ち至つて今日に及んでいる。実に前後九年の長期にわたつて争つているのである。そのために、理事会、評議員会等の開催、理事、理事長、評議員等の選任、学長、教授等の任免その他の重要な事務処理が法令、寄附行為等の定めるところに従い適法に実施されたか否かが疑問のような状態が継続し、また、それらの事務処理を適法に実施しようとしても困難なような状態が継続して来た。時々の実権掌握者の専断的行為もしばしばあつたもののごとくである。その結果、一派の者は、他派の者を偽理事、偽教授などと呼んで罵倒し、相互に理事長、理事、学長等の地位の存在または不存在確認請求、理事選任決議等の無効確認請求その他の民事訴訟を提起し、それらの訴訟を本案訴訟とする仮処分を申請した。昭和三〇年ころ以来名古屋地方裁判所に提起された右の民事事件は約七〇件以上の多数に及び、裁判所において名城大学紛争事件と呼ばれて来たが、現在なお多くの事件が右裁判所または当高等裁判所に係属している。その間約三回にわたつて理事長職務執行停止の仮処分がなされ、弁護士広浜嘉雄、同浦部全徳等がその職務代行者に任命された。また、昭和三〇年ころ以来諸種の罪名で相互に多くの告訴告発をした。現在は日比野信一を中心とする教授団、教職員組合および学生会の三者の代表者をもつて組織する協議会が実権を掌握し経営管理を行つている(それは、被控訴法人の支配を離脱した一種の事務管理とみられている。)。そして近い将来に紛争が円満に妥結する見込はない。叙上の事実は当裁判所に顕著な事実である。

当裁判所は、職権をもつて、右の名城大学紛争事件のうち多くの事件の記録を調査した。それらの記録のうち左記各事件にもとずき、その各事件の概要を示せば、次のとおりである(なお、(イ)(ロ)(ヘ)各事実件については、本件記録添付の諸書類参照)。

(イ) 日比野信一は、被控訴法人(訴状において、その代表者として田中壽一を表示す。)を相手方とし、名古屋地方裁判所昭和三四年(ヨ)第六九七号学長罷免等の効力停止等仮処分命令申請事件をもつて、仮処分を申請し、右裁判所は、「被控訴法人が日比野信一に対し昭和三四年七月一七日附でなした学長罷免の意思表示および同年八月四日附でなした教授解雇の意思表示はいずれもその効力の発生を停止する。被控訴法人は日比野信一が学長および教授としての職務を行うことを妨害してはならない。」という仮処分判決をした。

(ロ) 日比野信一は、被控訴法人(代表者の表示、大橋光雄)を被告とし、右裁判所昭和三五年(ワ)第二七一号学長地位存在確認等請求事件をもつて、「日比野信一が学長および理事の各地位を有することを確認する。被控訴法人が日比野信一に対し昭和三四年七月一七日附でなした学長罷免の意思表示および同年八月四日附でなした教授解雇の意思表示はいずれも無効であることを確認する。」という判決を請求し、その昭和三五年四月二六日の同裁判所第二回準備手続において右の大橋光雄は右請求を認諾した。

(ハ) 大橋光雄および小島末吉の両名は、田中壽一、守田広海、足立聰および被控訴法人(代表者の表示、田中壽一)の四名を相手方とし、右裁判所昭和三五年(ヨ)第五二八号および第六八二号理事長並に理事職務執行停止等処分申請事件をもつて、仮処分を申請し、同裁判所は、「大橋光雄および小島末吉が理事たる地位を有することを仮に定める。田中壽一が理事長としての職務の執行を仮に停止する。その間浦部全徳をして理事長の職務を代行させる。守田広海および足立聰の理事としての職務の執行を仮に停止する。」という仮処分判決をした。

(ニ) 大橋光雄は、守田広海、足立聰および被控訴法人(代表者の表示、浦部全徳)の三名を被告とし、右裁判所昭和三五年(ワ)第一九〇一号理事並に理事長地位確認請求事件をもつて、「大橋光雄は、昭和三三年一二月理事に、昭和三五年二月理事長に就任した。しかし、被告等は、昭和三五年五、六月ころの理事会決議により大橋光雄が理事および理事長を解任されたと称しているが、その理事会決議は無効であり、大橋光雄は、現在なお理事であり、理事長である。」と主張し、守田広海および足立聰の両名は、第一回口頭弁論において、それぞれ右の請求を認諾し、大橋光雄と被控訴人との間の右訴訟が引き続き同裁判所に係属していたが、その訴訟については、昭和三七年二月訴の取下書が提出された。

(ホ) 大橋光雄は、伴林、兼松豊次郎、大野富之助、小島末吉および日比野信一の五名を被告とし、右裁判所昭和三六年(ワ)第九二号理事長並に理事確認請求事件をもつて、「大橋光雄は、昭和三三年一二月理事に、昭和三五年二月理事長に就任した。しかし、田中壽一一派は、理事会において昭和三五年五月大橋光雄の理事長を解任しかつそのころその理事をも解任したと称して各解任登記をした。しかし、大橋光雄は、現在なお理事であり、かつ理事長である。」と主張し、伴林、兼松豊次郎および大野富之助の三名は、第二回準備手続において、それぞれ右の請求を認諾し、大橋光雄と小島末吉および日比野信一の両名との間の右訴訟は現に右裁判所に係属中である。

(ヘ) 日比野信一は、田中健児、加藤敏正、伴林および被控訴法人(代表者の表示、浦部全徳)の四名を相手方とし、右裁判所昭和三五年(ヨ)第七〇一号および第七一五号決議の効力停止等仮処分申請事件をもつて、仮処分を申請し、同裁判所は、「日比野信一が学長および理事の各地位を有することを仮に定める。伴林の評議員互選による理事としての職務の執行を仮に停止する。田中健児および加藤敏正の理事としての職務の執行を仮に停止する。」という仮処分判決をした(その判決は、伴林については、昭和三五年五月の評議員互選による同人の理事選任を無効と判断している。)。

(ト) 日比野信一は、兼松豊次郎および伴林の両名を相手方とし、右裁判所昭和三六年(ヨ)第一三〇号理事職務執行停止仮処分事件をもつて、右の両名が理事としての職務の執行を停止する仮処分を申請した。そしてその申請書には、申請の理由として、「昭和三四年七月評議員理事小島末吉および理事田中卓郎を解任する決議をしたが、その決議は無効である。そして同年八月理事伴林が解任された。そして同年一二月兼松豊次郎および大石政雄を理事に選任する旨の決議をしたが、その決議は、田中壽一と河野省吾とだけで勝手にしたものである。基本理事たる小島末吉および日比野信一を加えず、かつ評議員会の意見を聞かないでしたものであるから、無効である。次で昭和三五年二月伴林を理事に選任する旨の決議をしたが、その決議は、右同様、基本理事たる小島末吉および日比野信一を加えず、かつ評議員会の意見を聞かないでしたものであるから、無効である。なお、文部省より、登記簿に理事として登記してある者を速かに解任すべき旨の勧告が来ているから、速かにその者を解任すべきである。」などと記載してある(ここで問題となつている伴林の理事選任は、昭和三五年二月のものである。)。なお、大橋光雄は、「日比野信一は、学長および理事の地位をすでに喪失した。大橋光雄が理事および理事長である。」と主張して、右事件に当事者として参加した。右事件は現在なお右裁判所に係属している。

(チ) 田中卓郎は、被控訴法人(代表者の表示、小島末吉)を相手方とし、右裁判所昭和三六年(ヨ)第八五四号仮の地位を定める仮処分申請事件をもつて、「田中卓郎は、理事であつたところ、解任された。しかし、その解任決議をした理事会は、招集手続、議決等に重大な違法があつたから、解任決議は無効である。」旨を主張し、小島末吉は、その主張事実を全部認め、右裁判所は、田中卓郎が理事の地位を有することを仮に定める仮処分判決をした。そして日比野信一は、右判決に対し、同事件の控訴人の表示として本件の被控訴法人の所在地および名称を記載し、かつその代表者の表示として「理事日比野信一」と記載した控訴状を提出して、当高等裁判所に控訴をしたが、これにつき、兼松豊次郎は、「小島末吉は、すでに解任されたから、理事ではなく、日比野信一は、学長の任期満了により、すでに学長を退任し、したがつて現在理事でない。兼松豊次郎は、現に理事であるから、同人によつて訴訟を進行するようにせられたい。」と記載した代表者届を提出した。当高等裁判所において目下審理中である。

(リ) 三木新は、被控訴法人を被告とし、右地方裁判所昭和三六年(ワ)第一二二一号賃金支払請求事件をもつて、「三木新は、助教授であるが、被控訴法人は、賃金等の支払をしないから、その支払請求をする。」という訴訟を提起したが、その訴状には、被控訴法人の代表者の表示として、「名古屋市中村区中ノ町一丁目三番地、理事兼松豊次郎郎」と記載し、その訴状は兼松豊次郎個人の右住所に送達され、昭和三六年九月六日の同裁判所第一回口頭弁論において、兼松豊次郎は、右の請求を認諾した。そして日比野信一は、右訴訟に関して、被控訴法人を補助するための参加申出書、被控訴法人につき特別代理人を選任することの申請書およびそれらの書面の附属書類たる多数の書類を同裁判所に提出したが、それらの書類には、「三木新は、助教授でないにもかかわらず、これを詐称しているのであつて、この訴訟は、同人と兼松豊次郎との馴合訴訟である。」という記載「登記簿には、現在理事として兼松豊次郎および伴林の両名が登記されているが、この両名は、実際には理事でない。」という記載等がある。なお、三木新は、その後右の認諾調書の執行力ある正本にもとづき被控訴法人の大正海上火災保険株式会社に対する火災保険金債権に対し差押および転付命令を申請して、その命令を受けた(この点は、当高等裁判所昭和三七年(ラ)第二二号事件記録による。)。

右は、僅かに一〇件ほどの最近の各事件の概要を示したにすぎないのであるが、それだけでも、登記簿上すでに理事抹消登記のなされた者、現に理事として登記されている者等の間において、その理事の地位の有無等に関し深刻に対立抗争していることを推知するに十分である。ところが、実際は、昭和三〇年ころ以来係属した上記のような民事事件の数は、実に数十件の多数に及んでいるのである。

なお、右の各事件記録によれば、名古屋地方裁判所における叙上の各仮処分は、いずれも合議部において三人の裁判官関与のもとに口頭弁論を開き、本案訴訟と同様な慎重な審理手続を経由し、判決をもつてなされていることを認めることができる。したがつてそれらの仮処分判決の結論は、仮の暫定的措置に関するものであるとして軽視することはできず、むしろ重要視し尊重しなければならないように思われる。

叙上説示のすべての事実関係を総合し、更に右(イ)ないし(リ)事件記録を精査して、再思三考すれば、次のような結論に到達する。

一、寄附行為の諸規定によつて明かであるように、学長は当然に理事となり、評議員の互選で理事二人を決定す。その三人の基本理事の議決によつて他の二人以上五人以下の理事を定める。次に理事の互選または理事会の決議によつて、理事、教授、事務職員その他の者のうちから、評議員を定めるのである。このように役職員の地位が相互に密接不可分な組織となつている結果、仮に選任手続等が違法であつて役職員のうちの数人の者の地位が真実は不存在である場合には、その影響するところがきわめて広範囲に及び、他の多くの理事、評議員等の地位が問題となつてくる。次に基本理事の選任または解任が無効である場合には、影響するところが特に甚大である。ある理事が解任されたけれども、その解任が無効であるような場合には、その後任として選任された理事、更にその後任として選任された理事等の地位が順次に疑問となつてくる(寄附行為第九条但書参照)。しかも、紛争は前後九年の長期に及びかつきわめて深刻であり、その間、実権掌握者の専断的行為があつて紛争はますます激化するというような状態であつた。理事、評議員等の選任、解任、教授、事務職員等の雇入、解雇その他の事務処理が適法に行なわれなかつた場合が相当にあるのではないかと推測される。それで昭和三〇年ころ以降の理事の状況を順次審査して現在に及ばなければ、現在の理事の正確な状況を把握することができないようにも思われる。更に紛争関係者が被控訴法人を被告として訴訟を提起したような場合において、仮に一派の者をして被控訴法人を代表させて訴訟を進行すれば、その者は、ただちに原告の請求を認諾し、または請求原因関係を全部自白するにもかかわらず、仮に他派の者をして被控訴法人を代表させて訴訟を進行すれば、その者は、右の請求を徹底的に争い、請求原因関係全部を極力否認するような状況にあることが明白である。一派の者の主張、陳述等と他派の者の主張、陳述等とは極端に相違し相対立している。仮に証人として尋問しても、同様な結果となるであろう。真相の発見が困難である。これを要するに、以上説示のような状態であるから、実体法上何人が適法な理事であるかを確定することは、きわめて困難である。

一、登記簿に現在理事として登記されている者六人のうち、兼松豊次郎および伴林を除き、その余の四人もの多数につき、すでに職務執行停止の仮処分判決がなされている。他方において、登記簿上すでに理事抹消登記がなされた日比野信一、大橋光雄、小島末吉および田中卓郎の四人につき、それらの者が理事の地位にあることを仮に定める仮処分判決がなされた(なお、前記のように、日比野信一と被控訴法人との間の本案訴訟は、認諾により終了し、大橋光雄と被控訴法人との間の本案訴訟については、訴の取下書が提出された。田中卓郎の仮処分判決については、控訴中である。)。そして最後の理事長として登記されていた田中壽一についても、職務執行停止の仮処分判決がなされている。なお、右のほかにも、過去において、何回か登記と異る趣旨の裁判がなされたに相違ないと推測される。このような状況のもとにおいて、兼松豊次郎および伴林が理事として登記されていることだけによつて、同人等を実体法上適法な理事であると推定することは、はなはだ危険である。しかも、同人等についても、その地位を争い職務の執行停止を求める仮処分事件が係属している現状においては、なお更である。これを要するに、事実関係が以上説示のとおりである本件においては、理事として登記してあるという事実だけによつて、実体法上の理事を推測し確定することは、きわめて危険である。本件は、登記の推定力を阻害するに足る特別の事情が存在する場合にあたるとみなければならない。

叙上説示のとおりであつて、登記簿には、兼松豊次郎ほか五人が理事として登記されているけれども、その各登記が実体関係に合致するか否かは、はなはだしく疑問であり、他には特段の資料がないから、結局において同人等が実体法上適法な理事であることの証明なきに帰する。

もつとも、日比野信一、小島末吉等については、理事としての登記がないけれども、仮処分判決によつて理事としての地位が一応認容されており、特に日比野信一については、その本案訴訟において前記認諾がなされたから、特別の事情がない限り同人等は理事であるとみるのほかはない。

(代表理事の欠員と他の理事の代表権の有無)

被控訴法人の理事長として登記されていた田中壽一が昭和三五年一一月一一日死亡し、被控訴法人においては、理事長の選任が行なわれず、理事長欠員の状態にあることは、叙上の認定事実と弁論の全趣旨とによつて明かである。

そして私立学校法第三五条第三七条によれば、理事のうち一人は、寄附行為の定めるところにより、理事長となる。そして外部関係において、理事は、すべて学校法人を代表する。ただし、寄附行為をもつてその代表権を制限することができる。また、内部関係において、理事長は、法定の職務を行ない、その他学校法人内部の事務を総括する。そして理事長が欠けたときは、寄附行為の定めるところにより、他の理事が理事長の職務を行うのである。次に被控訴法人の寄附行為をみるに、理事の互選により、理事のうちの一人が理事長となる。そしてその第一〇条は、「理事長以外の理事は、すべてこの法人の業務についてこの法人を代表しない。」と規定し、第一一条は、「…………理事長が欠けたときは、理事長のあらかじめ指名した他の理事が、順次に…………理事長の職務を行う。」と規定している。しかるに弁論の全趣旨によれば、被控訴法人においては、理事長がまだ右第一一条所定の指名をしない間に、理事長が欠員となつたことを肯認するに十分である。なお、寄附行為等には、右の指名がしてなかつた場合の準則となるべき特段の明文はない。

上記の各規定のある私立学校法および本件寄附行為のもとにおいて、理事長がまだ右の指名をしない間に、理事長が欠員となつた場合には、他の理事が当然に被控訴法人の代表権を有するに至るか否かについては、名古屋地方裁判所および当高等裁判所の従来の多数の裁判例は、結論において二個の見解に分れている。第一説は、「私立学校法第三七条第一項本文の原則的規定が適用され、理事各自が当然にそれぞれ単独で代表権を有するに至る。」と解し、第二説は、「この場合においても、依然として理事各自には代表権がなく、結局代表権のある理事がないこととなるから、私立学校法第四九条民法第五六条にもとづき仮理事長を選任すべく、その選任がまだなされない間に学校法人を被告とする訴訟が提起される場合には、民事訴訟法第五八条第五六条により特別代理人を選任すべきである。」と解する。原判決の見解は第二説に属し、控訴人の主張は第一説に属する。当裁判所の見解は、理由において原判決といちじるしく異るけれども、結論において原判決と同様であり、第二説に属する。

そもそも、私立学校法によれば、理事長は一人である。そして本件寄附行為は、いうまでもなく、そのことを前提として諸種の規定を設けている。内部関係につき、私立学校法は、理事長を事務総括者と定めている。したがつて事務総括者は一人である。寄附行為は、事務総括という文言を使用した規定を欠いているけれども、私立学校法の事務総括に関する規定が当然に適用されることを前提としていることは、多言を要しないであろう。そして寄附行為は、理事長は理事会を招集しその議長となる旨の規定その他の理事長中心主義の諸規定を設けている(第一二条第一三条第一九条参照)。次に外部関係については、私立学校法は、理事の各自代表を原則とするけれども、寄附行為をもつて理事の代表権を制限することを許している。そして本件寄附行為は、これにもとづき、理事長以外の理事はすべて代表権を有しない旨を規定して、理事の代表権に制限を加えると同時に、理事長たる理事だけを代表者としている。右のとおりであるから、被控訴法人においては、理事長たる一人の理事が内部関係において事務総括者であると同時に外部関係において唯一の代表者である。一人の事務総括者すなわち唯一の代表者の制度をとり、その両者を不可分の一体となしている。更に進んで理事長が欠けた場合につき案ずるに、寄附行為第一一条は、私立学校法の条項にもとづき、理事長のあらかじめ指名した他の理事が順次に理事長の職務を行なう旨を規定している。「順次に」と規定しているから、数人の理事につき、一人づつ第一順位、第二順位を附して指名することを要し、その指名に従つて、数人の理事のうちの一人が理事長職務代行者となるのである。そしてその職務代行者たる一人の理事が内部的事務総括者であり同時に外部的事務につき唯一の代表者なのである。したがつて被控訴法人の寄附行為においては、首尾一貫して、一人の事務総括者すなわち唯一の代表者の制度を採用しているということができる。なお、原判決が指摘しているように、学校法人の理事の代表権の制限は、民法上の法人の場合とは異り、必要的登記事項と定められている(私立学校法第二八条同法施行令第一条)。このことは、法律が学校法人の代表者制度を、旧態依然たる民法上の法人の代表者制度から一歩進めて商法上の会社の代表者制度に近接せしめ、近代化したものとみることができる、叙上の諸点より考察すれば、理事長が前記の指名をしないで欠員となつた場合には、数人の理事の互選により、事務総括者すなわち理事長を選任することに伴つて、唯一の代表者が確定する以外には、代表者は存在しないと解するのが相当である。第一説は、私立学校法第三七条第一項に著眼しただけで、同法のその他の条項および本件寄附行為の表現している趣旨を無視して、立論しているものであつて、とうてい賛成することができない。前記のように解しても、理事が一般的代表機関であるという理事の本質に反しないことは、多言を要しないであろう。なお、第一説が援用する昭和九年二月二日の大審院決定(民集一三巻一一五頁所載)の見解は、私立学校法および寄附行為の前掲各条項と同趣旨の諸種の規定が存在する場合を前提とするものでないから、本件には通用しない。

(結論)

以上のとおりであつて、被控訴法人は理事長(代表理事)を欠いている。そして兼松豊次郎等は、登記簿に理事として登記されているけれども、実体法上被控訴法人の理事であるとは断定し難く、しかも、被控訴法人に理事長以外の理事(たとえば日比野信一、小島末吉等)が現存しているとしても、それには代表権がないから、被控訴法人は代表者を欠いているといわなければならない(同時に、内部関係における事務総括者を欠いている)。

なお、上記の状態であるから、被控訴法人においては近い将来理事長が選任される見込はない。したがつてその選任をまつて本訴を提起進行するとすれば、控訴人に遅滞のため損害を生ずる虞のあることが明白である。

そして私立学校法第四九条民法第五六条にもとづき、すみやかに仮理事長を選任すべき場合であるにもかかわらず、所轄庁が今日に至るまでその選任をしないことは、当裁判所に顕著である。

故に本件訴訟については、民事訴訟法第五八条第五六条にもとづく特別代理人の選任を申請し、受訴裁判所裁判長の定めた特別代理人をして被控訴法人を代表させ、これによつて訴訟を進行すべきである。これと同趣旨に出た原判決は、結論において、まことに正当である。

訴状におけると同じく、控訴状においても被控訴法人の代表者として兼松豊次郎を掲記してあり、したがつて原審におけると同じく、当審においても控訴状等が同人に送達されたから、本件控訴の適否も問題となり得るであろう(なお、大審院昭和一九年二月二五日判決、民集二三巻八三頁参照)。しかしながら、控訴人は、兼松豊次郎が被控訴法人の代表権を有し訴が適法である旨を主張し、これに対して、原審は、同人がその代表権を有せず訴が不適法である旨の判決をしたのであるから、控訴人は、その紛争のままの状態において、すなわち、控訴人の右主張を基準として控訴し、兼松豊次郎の代表権の有無に基因する訴の適否自体を結論において判断する控訴審判決を請求することができると解すべきであろう。控訴を不適法と解すると、控訴却下の判決等がなされて同人の代表権の有無に基因する訴の適否自体を結論において判断する判決のなされない場合を生じ、不当な結果となる。故に本件控訴は適法とみるべきであろう(なお、附言するに、控訴代理人は、当裁判所の勧告に応じて特別代理人選任の申請をしたが、間もなく、これを取り下げ、しかも、その後第二回口頭弁論において、右申請をする意思がない旨を言明した。)。

以上のとおりであるから、本訴は不適法として却下すべく、これと結論を同じくする原判決は相当であつて、本件控訴は理由がない。それで控訴費用の負担につき民事訴訟法第九五条第八九条を適用して、主文のとおり判決をする。

(裁判官 石谷三郎 山口正夫 吉田彰)

(別紙)

学校法人名城大学寄附行為

(事務所の所在地)

第二条 この法人は、その事務所を愛知県名古屋市中村区新富町八十五番地(名城大学内)に置く。

(役員)

第五条 この法人の役員の定数は、左の通りとする。

一、理事 五人以上八人以内

二、監事 二人

(理事長)

第六条 理事のうち一人は、理事の互選により、理事長となる。

(理事選任)

第七条 名城大学長は理事となる。

2 評議員のうちから選任される理事は二人とし、評議員の互選で定める。

3 前項の規定により選任された理事以外の理事は、この法人に関係ある学識経験者のうちから、評議員会の意見を聞いて、前二項の規定により選任された理事の過半数の議決をもつて選任する。

(役員の任期)

第九条 役員(第七条第一項の規定により理事となる者を除く)の任期は、五年とする。但し、欠員を生じた場合の補欠の役員の任期は、前任者の残存期間とする。

2 役員は、再任されることができる。

3 役員は、その任期満了の後でも、後任者が選任されるまでは、なおその職務を行う。

(理事代表権の制限)

第十条 理事長以外の理事は、すべてこの法人の業務についてこの法人を代表しない。

(理事長の職務の代理又は代行)

第十一条 理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、理事長のあらかじめ指名した他の理事が、順次に理事長の職務を代理し、又は理事長の職務を行う。

(理事会)

第十二条 この法人の業務の決定は、理事会において行う。

2 理事会は理事をもつて組織する。

3 理事会は随時理事長が招集する。但し、理事長は、理事総数の二分の一以上から会議に付議すべき事項を示して、理事会の招集を請求された場合には、その請求のあつた日から二週間以内にこれを招集しなければならない。

4 理事会の議長は、理事長とする。

(理事会における議決方法)

第十三条 理事会の議事は、法令に別段の規定ある場合並びに第十四条及び第三十一条の規定する場合を除く外、理事の過半数で決し可否の同数のときは議長の決するところによる。

2 前項の場合には、議長は、理事として議決に加わることができない。

(評議員会の構成)

第十五条 評議員会は、左に掲げる評議員をもつて組織する。

一、この法人の職員(この法人の設置する学校の教員その他の職員を含む)のうちから選任された者五人以上八人以下

二、この法人の設置する学校を卒業した者で年令二十五年以上の者のうちから選任された者七人

三、理事(第七条第二項の規定によつて理事となつた者を除く)のうちから選任された者二人

四、名城大学長

五、この法人に関係ある学識経験者七人以上十人以下

(評議員の選任)

第十六条 前条第一号、第二号及び第五号に規定する評議員は、理事会において選任する。

2 前条第三号に規定する評議員は、理事の互選で定める。

3 前条第一号、第三号及び第四号に規定する評議員は、職員、理事又は学長の地位を退いたときは、評議員の職を失うものとする。

(評議員の任期)

第十七条 評議員(前条第二項及び第十五条第四号の規定により選任された者を除く。この条中以下同じ)の任期は四年とする。但し、欠員が生じた場合の補欠の評議員の任期は、前任者の残存期間とする。

2 評議員は再任されることができる。

3 評議員はその任期満了の後でも、後任者が選任されるまでは、なおその職務を行う。

(議長)

第十八条 評議員会の議長は、評議員の互選で定める。

(会議)

第十九条 評議員会の会議は、定例会及び臨時会とする。

2 定例会は、毎年二月、五月及び八月に招集する。

3 臨時会は、理事長が必要と認めた場合及び私立学校法第四十一条第五項の規定により招集する。

附則

この法人の組織変更当初の役員は、次の通りとする。

理事 田中壽一

理事 佐々部晩穂

理事 大隅孝一

理事 今岡正益

理事 草葉隆円

理事 田中コト

監事 野村均一

監事 小出仁三郎

(その他の条項は省略する)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例